
キラキラ
第38章 バースト11
パンを食べながら、智兄は、優しい表情で呟いた。
「……いつもありがとな、翔」
「なんだよ……改まって」
こそばゆい言葉に、こちらが照れてしまう。
だけど、智兄は、うん、なんとなく……と、言いながら、手にした残りの胚芽パンをぱくりと口に放り込んだ。
そうしてもぐもぐして、にこりと微笑む。
「おまえがこうやっていろいろ考えてくれるから、俺は元気でいれるんだな……と思ってさ」
「……なにいってんだよ……なんか…縁起でもない」
いつもは言わないような褒め言葉に、少々戸惑う。
「智兄はそのままでいいんだよ。嫁にいくまでは俺が面倒みるからさ」
「……なに(笑)。俺は嫁にいくの?」
「松岡さんとこに。いずれ嫁入りすんだろ」
「……あはは……面白ぇこというなぁ」
智兄は、コロコロ笑ってコーヒーを飲んだ。
俺は、あながち間違っていないんじゃない?と思いながら、かず用の胚芽パンにクリームチーズを塗った。
