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キラキラ

第38章 バースト11

「あれ、智さんまだ帰ってないの?」

勉強の合間に、お茶を飲みに来たかずが、智兄用の手付かずの夕飯の皿をみて、目を丸くした。

俺は、ああ……と生返事を返し、再びスマホに目をおとす。


ちょっと心配になってきた。

電車が動かなくて帰れないなら、迎えにいくよと、メッセージを送っても、既読がつかないのだ。

同様に電話も通じない。

何度かけても、

『電波の届かないところにおられるか、電源が入ってないためかかりません』

と無機質な女の声に阻まれる。


「仕事始めだから……もしかしたら職場で飲みにでもいってるのかもな」


自分に言い聞かせながら、あるいは電車がとまったから、松岡さんのところにでも行ってるのか?とも思う。


「ふーん……珍しいね」


かずが時計を見上げた。
つられて俺も顔をあげる。
時刻は10時。


……しかし、どちらにしても、帰りが遅くなる、と
連絡もよこさないのは、おかしいと思った。

俺が全員の夕飯を作っているのを知ってるから、智兄は、予定が変わった時点で、必ず、すまん、遅くなると連絡をくれる。

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