
キラキラ
第38章 バースト11
シナリオはこうだ。
智兄は、松岡さんのところにいる。
あの智兄にベタボレな恋人のことだから、智兄を直で迎えにいったのだろう。
電車が止まったぞ、とかいって。
タクシーとばして。
で、智兄はというと、俺に連絡しようとしたけど、帰るなり性欲魔神に犯されて、そのまま寝た……うん、きっと、そうだ。
まもなく0時になろうかという時計をにらみつけ、俺はそう結論づけた。
電話してもでなくて、メッセージおくっても既読もつかないなら……しかも、かずのテレパスにさえ反応しないなら、もう寝てる可能性が高い。
なんとなくザワザワする気持ちから目を背け、俺はキッチンのあかりを消し、リビングの照明を絞った。
万一帰ってきたときに真っ暗だったら、嫌だろうからとの配慮のつもりだ。
俺は、水を飲んだグラスをざっと洗い、かごにふせて、リビングをでた。
ベッドにもぐり、もう一度スマホの画面を撫でる。
既読のないメッセージと、何度目かの機械の女の声をきき、あきらめてサイドボードにそれを放り投げた。
連絡のしない智兄に、心で悪態をつきながら……俺は目を閉じた。
