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キラキラ

第38章 バースト11


少し前屈みになり、握った手を額に当ててるかず。
全神経を使って、智兄に呼び掛けてくれてるのだろう。

彼の体から発するチカラにより、横に座った俺は風圧のようなものを感じる。
手を伸ばしても押し戻されるようなその圧倒的なチカラに、かずの本気を感じて、俺は黙って見守った。


…………応答しないのだろうか



時間にしたら数分という僅かなものだろうけど、これだけの長い時間、チカラを発し続け動かないかずを見るのは初めて。

精神力を使い果たさないか、そろそろ心配になってきたころ、かずが深く息を吐いて体を起こした。

その表情は、戸惑いの色に染まってて、結果は聞かなくとも分かった。


「応答しない……というより、智さんの気配がない」


かずは、泣きそうな顔で報告してくる。


「気配……までわかるもんなのか」

「俺は、よびかける相手がいるときは、まずその人の気配をつかむんだ」

「…………」

「活動してる人は、動くことによって自分の気を発散してるから、わかるの」

「それが……ない?」

「したことないくらいの限界まで範囲広げたけど、どんなに探っても、智さんの気配がない」

「つまり……」

「意識がないってことだよ」


かずがポツリと言った。

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