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キラキラ

第38章 バースト11


最初の何回かは、丁寧に。
最後は少し乱暴にインターホンを鳴らし続けたが、応答はなかった。

俺は辺りに目を走らせ、潤に軽く目配せをしておもむろにふわりと浮いた。

門を越え、すーっと、二階の壁に近づく。
万が一中に人がいたらややこしいから、慎重に壁に背を預け、そっと中をのぞいた。

薄いカーテンをひいてるせいで、はっきりとはみえないが、そこは長机がたくさんあり、会議室のような場所にみえた。

いくつか、窓をのぞいたが、同じような部屋が多い。
生活感はまるでなく、なにかの施設なのだろうか、と考える。

病院か何かの療養所かと、最初は予想したが、ここまで人気がないところをみると、どこかの企業の研修施設だとか、そういった目的で使われていそうな雰囲気だった。

つまり、必要なときに必要な人が使うところで、……いつもは誰もいない場所、ということだ。

俺は、考える。

潤の能力は、不安定とはいえ、なんの関わりもない場所に跳んでくるほどポンコツではない。
ならば、ここはなんらかの形で、智兄が絡んでる可能性があった。

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