
キラキラ
第38章 バースト11
「翔」
門の周りを歩いていた潤が立ち止まり、俺を見上げてる。
潤はおれの死角にある場所を指差して、
「あれ、動いてない?」
と、戸惑いがちに言った。
俺は、二階から一階に高度をさげる。
足跡はつけない方がいいと、判断して、浮いたまま、潤の指し示す方へむかうと、物置の影に建物の空調機のものと思われる室外機があった。
家庭用より大きいが、稼働音があまりに静かなため気がつかなかったが。
よくよくみると、雪から何本かでている雑草が、室外機の送風により、ふわふわと一定の方向に揺れている。
つまり中で、エアコンか何かが稼働してるということだ。
「……動いてるな」
「やっぱり、中に誰かいるよ」
「…………」
俺は、唇をかむ。
能力をつかえば、施錠した部屋に入るのなんかは簡単だ。
だが、もし何かの間違いならば、言い訳がつかない。
これまでの事件では、智兄が視て、中の状況を確認してから鍵をあけることしかしてない。
……はたして、このまま侵入してみても大丈夫か。
そのとき、遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
誰かくる……!
俺は、ふわりと飛び上がり、不安そうな潤のそばに戻った。
