テキストサイズ

キラキラ

第38章 バースト11

俺たちは、こんな辺鄙な場所に不似合いな二人だ。

何をどう突っ込まれても怪しすぎる。


「ど、どうする?跳ぶ?」

「いや……」


この場から消えようかと、焦る潤に、俺は冷静に周りを見渡し、おもむろに指をぱちんと鳴らした。
同時に、木々に向けて、潤と共に飛びあがる。

立ち並ぶ木立の上方。
木々の枝葉が俺らの姿を隠してくれるはずだ。


俺たちの姿に驚いて、小鳥がバサバサと飛び立つ。


「あ、ごめん」

「……(笑)」


小鳥にまで謝る潤が可愛い。


白い息を吐きながら、二人で上から様子を見ていると、ほどなくして、ジャリジャリと砂利の音をたてながら、一台の車が姿をみせた。
黒のステーションワゴン。


……あの車……どこかで


何かが、ひっかかり、過去の記憶を振り返る。


「…………?」


考え込んだ俺を、潤が心配そうに見つめてる。
そうして、その車が、ゆっくりとこの建物の前にとまったとき、突如記憶のパズルのピースがカチッとはまった。


何日か前に、うちのマンションのまえに停まってた車とおなじだ……!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ