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キラキラ

第38章 バースト11


「どうしたの……?」


潤が、気遣わしげな瞳で俺を見上げる。

いつもならこんなミスを俺がするわけないのは、潤も分かっているようで、心配してくれているのだろう。


「知ってる人……?」

「……ああ」


俺は戸惑う気持ちを押さえきれず、髪の毛をぐしゃりとかきあげた。
かじかんだ手は、寒さなのか、この気持ちのせいかで、震えてる。

まったく予想もしてない展開に、衝撃しかなくて。
頭は混乱していた。
助手席から出た人物は、ピンクの髪をしていた。

よく知るその丸顔の男は、


「大学の……同じゼミのやつだ」


増田だった。

いつも屈託なく笑い、人のよさを前面にだしてるあいつが、無表情でそこにいた。


「なんで……?」


見たこともない顔だった。

……動揺をかくせない俺の腕を、ふいに潤が力強く揺すぶった。


「翔?……まだ、なにもわかんないよ?あの場所に智さんがほんとに関係してるのかすら不明じゃん?」

「あ……ああ」

「跳んだところに、たまたま友人がいただけだよ。それだけだよ」

「……そうだな」


冷静な潤の助言に、俺はぎくしゃくと頷いた。

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