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キラキラ

第38章 バースト11



身を隠す場所のないところだから、今日のところは戻るのはやめざるをえなかった。

だが、一方で、潤と再び跳んだときに、あの場にちゃんと戻れるかどうかわからないことも、また問題であった。


「……ちょっと自信はない」


俺がいれてやったココアを手にして、考え込む潤。
漠然と、智兄のそばへと、イメージしただけだから、場所の特定が困難らしい。

智兄が発する気配を頼りにしてる点では、潤とかずの能力の使い方は、同じのようであった。


「……跳べるかもしれないし、跳べないかもしんない…」

申し訳なさそうにいう潤に、俺は、いや……と首をふり、潤の肩を抱いた。

智兄がほんとにあそこと関係してるのであれば、もう一度跳べるはず、と、俺は勝手に思ってるし、無理なら……増田に聞けばよい、

理由は……理由は、どうとでもなる。

そういうと、潤は、うん……と、頷いた。


「ありがとうな」

「……うん」


そっと暖かな頬に触れる。
潤に触れていると、心が落ち着く。
潤は俺に寄り添い、ぽつりと言った。


「智さん……早く連絡あるといいね」

「……ああ、そうだな」


ゆっくり首を傾けると、潤は微かに上向いて俺のキスを受け入れた。


智兄……連絡だけでも欲しいよ……



…………だが、その日も智兄の携帯はつながらず、かずのテレパスにも応答はなかった。

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