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キラキラ

第38章 バースト11


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智兄から連絡がないまま迎えた三日目の朝。

何百回めかの電話をかけても、相変わらず、電源が入ってません、と切り捨てる機械音声に落胆しながら、俺は濃いコーヒーを口にする。
もはやバッテリー切れの可能性も高く、スマホを頼りにするのはもう不可能のように思えた。


松岡さんのところにもいなくて。
会社にもあらわれなくて。
かずのテレパスにも応答しない。

これほどまでに消息を絶たれてしまうと、どうしたらよいのか。


……もはや最後の頼みは潤だけだった。

今日もう一度跳んでもらう。
それでもダメなら……



「……警察にいう?」


いつのまにか起きてきたかずが、青白い顔で心配そうに俺の顔を見上げた。


「おまえ……まだ五時だぞ」

「眠れないよ。翔さんだってあんまり寝てないでしょ」

「……まぁ……な」


眠りが浅いのは事実だった。
小さな物音がするたびに、智兄がかえってきたのではないかと、目が覚めてしまうのだ。

智兄が、俺たちの大黒柱であることを、しみじみと感じる。
理由もなしに帰ってこないだけで、残された俺たちはこんなにも困惑する。


「警察署にいったらいいの……?」


なおも訴えるかずに、俺は首をふった。


「……いや、無理だな。事件性がないと警察は動かないし、ただの家出と処理されるかもしれない」


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