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キラキラ

第38章 バースト11


「……はい」


何を聞こうか、何を話そうか……全くノープランだが、とりあえずは応答する。


『……翔?今大丈夫?』


スマホから聞こえてくる朗らかな声はいつもと一緒。
いつもの増田だ。
昨日みたのが、ほんとにこいつだったのか、一瞬疑問に感じてしまうほどだ。


「おう……どうした」

『あのさ……ちょっと話があって』

「……話」

『直接、顔見て話したい。出てこれる?』

「電話じゃダメなのか」

『……込み入ってることだから。電話ですましたくないんだ』

「……ゼミの発表のことか」

『違う』

「…………」


思わぬ申し出に、絶句する。
何を話すのか、それにどう対応していいのか。


……いや、まて。
それ以前の問題があった。


俺は軽く吐息をついて、静まり返る廊下の向こうの部屋の人物を案じる。


「……すまん。かずの調子が悪くて。ちょっと家を離れられない」


泣きながら意識をおとしたかず。
目覚めた時に、そばにいてやりたかった。

すると、増田は、少し間を開けて提案してきた。


『……なら、家にいっていい?』

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