テキストサイズ

キラキラ

第38章 バースト11


「話って……?」


ひとしきり、部屋を褒めて、コーヒーの味を褒めた増田のテンションが落ち着いた頃、俺は早速切り込んだ。

増田が、妙に饒舌なのも不自然なら、俺と目をあまりあわさないようにしてるのもおかしかったからだ。

増田は、ああ……うん、と言った後、コーヒーをまた一口飲んで、どう言おうか迷ってるかのように、視線をおとす。


問い詰めたいのを我慢して、俺は、待った。

部屋に漂うコーヒーのこの香りは、智兄の好きなブルーマウンテン。

昔からこの香りを嗅ぐと、不思議と冷静になれる。
智兄が、これを飲んで穏やかに微笑んでる画が、浮かぶからだろう。

……瞬間湯沸かし器な俺へ、落ち着けよ、と智兄が諭してくれているようで。

今も、増田の様子を観察できるほど落ち着くことができていた。



……しばらくして増田は、ぽつりと言った。


「翔さ……確か、お兄さんいたよな?」


いきなり確信をついた内容に息を飲んだ。


「……いるよ」

「今日は?……仕事?」

「 なんでそんなこと聞く?」

「……いや……」


増田は、また黙った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ