
キラキラ
第38章 バースト11
「姉貴がいうには、そのさらわれた青年は大野智だって。……お前のお兄さん」
「…………」
「けど、この家にいるんだろ?なら、人違いだよな」
「…………」
「ったく姉貴も、せっかちだから見まちがいしたんじゃねえかな、と思うんだけど」
超能力……研究?
息がとまった俺は、カサカサに乾いた唇が、震えてくるのを感じてた。
智兄とまったく連絡がとれない理由が、もしそうであるならば。
それはそれで恐ろしい事態だ。
さらわれて……なにされてんだ?
監禁だとしたら……眠らされてるのだとしたら?
変な薬でも打たれていたらどうしよう。
背筋が寒くなる。
「翔……?」
「え……?」
増田の声に我にかえる。
……今、この場で何を言ったら正解なのかわからない。
増田は口調は笑ってるけど、目は笑ってない。
俺が否定するのを信じてない顔だ。
写真でも持ってるんだろうか。
さらわれたのは、智兄だと確信してるんだろうか。
智兄がいないのを認めても……大丈夫だろうか。
