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キラキラ

第38章 バースト11


「……あのさ……」

「……うん」

「…………智兄は……」



一瞬、そうだ、智兄は帰ってきてないと言ってしまおうかと思った。

けれど……やはり、それはそれでまずい。

超能力を研究してる団体に狙われるだけの理由がいる。
認めてしまえば、記事の信憑性が増し、北川を喜ばすことになる。

前回、せっかく、北川を黙らせた智兄の力が無駄になる……。


ダメだ。やはり言えない。


「……元気だぜ?今日も仕事に行ってる」


俺は、嘘をつくしかなかった。
増田は、そうか、と言って表情を和らげた。


「だよなぁ……あはは。変なこといってごめんな」

「…………」


自分の姉の言葉と、俺の言葉を天秤にかけて……俺を信じてくれたのだろう。

あたりまえだな。
超能力なんて、にわかには信じられることじゃない。


「よかった。やはり姉貴の早とちりだったんだな」


と、笑った増田は、


「このくそ寒いなかさぁ、姉貴に山の中の変な建物にまでつれていかれて、ここにお兄さんいるはずよ、なんて言われた時には、マジであの人大丈夫?って思ったぜ」


と、爆弾発言をした。

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