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キラキラ

第38章 バースト11



「昨日と同じ場所に……跳べるか」

「やってみる」


雪の残る山中は寒いだろう、と、俺のマフラーをぐるぐる巻きにしてやった潤は、集中を深めるためか、何度も深く深呼吸をしてる。


「……気を付けてね」


心配そうな顔をしている相葉くんが、ぽつりと言った。
俺は、そんな彼に改めて頭をさげる。


「……ごめんな、突然呼び出して」

「ううん。俺にもできることがあってよかったです」

「ありがとう……」


智兄を迎えにいく間、万が一かずが目覚めたら、そばに誰もいない。

あいつがどんな体調かわからないし、俺がいないことに不安がるかもしれない。

だから、俺は、相葉くんに連絡をとった。
相葉くんは、俺の説明を真剣に聞いた上で、是非協力させてほしい、と申し出てくれた。


「キッチンのものも、冷蔵庫の中も勝手に使ってくれ」

「……じゃあ、かずがお腹減らしてたら、お借りしますね」

「頼む」


頼もしい言葉に、勇気づけられる。


「いくよ」


潤が短く言って、俺の手を握り直した。
その手のひらがどんどん熱くなってゆく。

「おう」


俺は、潤のチカラにのみこまれる心地よさを感じながら、自分の意識を同化させた。

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