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キラキラ

第38章 バースト11


ひとつ瞬きをしたら……覚えのある山中にいた。
智兄がいると思われる白い建物が目の前にある。

……昨日来たところに、無事に跳べたようだ。


よかった……。

ほっと胸を撫で下ろす。
ここにさえたどり着けたら、なんとかなる。


「……できた」


ふーっと安心するかのような潤の呟きに、繋いでる手をもう一度ぎゅっと握った。


「サンキューな……潤」

「うん……でも、どうするの?このあと」


潤が、不安そうに俺を見据える。


「…………」


ひゅうっと冷たい風が吹いた。
都会とは、全然違う気温差に、二人で体をすくめる。


「……いきなり殴り込む?」

「……いや」


俺は、首を振った。

ここに本当に智兄がいるかどうかわからないうちから、いきなり暴れるのは憚られる。
いなかったときに、言い訳がつかない。

……とりあえずは。


「俺が侵入してくる。お前はここにいろ」

「やだ」

「……やだ、じゃない」

「やだよ。ここまできて待ってるなんていやだ」

「……どんな相手かわからないんだ。危ない目にあうかもしれないぞ」

「大丈夫。それに、なんかあったら、俺がいた方が、その場で跳べるよ」

「……」

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