
キラキラ
第38章 バースト11
顔をあげると、白衣を着たひょろりとした男が、崩れ落ちた潤を抱えて、無表情で立っている。
「不法侵入ですか」
「……っ……」
迂闊だった。
目の前の部屋の中に気をとられて、自分達周辺に気を配っていなかった。
「おい……っ」
一瞬で意識をなくしたらしき潤は、だらりと体をそいつに預けてる。
再び頭が沸騰した。
「潤になにした!!」
「大野翔ですね」
そいつは俺の問いには答えず、逆に抑揚のない声で名指ししてきた。
潤を取り返そうと反射的にそいつをチカラで弾き飛ばそうとして、ギリギリで踏みとどまる。
……だめだ、まだ暴れてはいけない。
智兄が向こうにいる。
「……潤と智兄を返せ」
「中へどうぞ」
「おいっ!!」
俺の反応をまるで無視したそいつは、見た目に反して馬鹿力なのか、潤をひょいと肩にかつぎ、引き戸をガラガラとあけて、中にはいってゆく。
俺は、舌打ちして後をおった。
