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キラキラ

第39章 バースト12


Jun



俺は、ぼんやりとフロアを見渡しながら、小一時間前の衝撃から立ち直れないでいた。


最初は気づかなかった。


ランチタイムのラッシュがひと段落ついた時間だったから、後片付けに追われてて、入ってきたのも知らない。


すみません、という声に顔をあげ、手をあげてる女性をみつけて近寄って。


ハンディ端末をポケットから出しながら、お決まりですか、と声をかけ、同席の男性と目が合って、心臓がとまった。


…………翔。


端末を取り落とさなかったのは奇跡だ。


翔も俺に気が付き、目を丸くしてる。
俺がバイトを始めた時に店の名前は教えてたけど、ここがそうだとは知らずに入ってきたんだな、と思った。


機械的にオーダーをとり、離れる。


時々遠目から翔をみると、楽しそうに雑談してるのがわかり、胸が苦しくなる。


誰?それ。


本音は、駆け寄って問い詰めたいけど、アルバイト中にそんなことできやしない。

ぐっと唇ををかみしめて我慢する。




…………カップルみたいだ。


思わずそう感じたのを全力で否定した。

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