
キラキラ
第39章 バースト12
それでも、いきなり大野家の家の中になんて跳ばない。いつも玄関扉の前に跳ぶ。
それは、最低限の礼儀だから。
俺は、いつものように重厚な造りの扉の横のインターホンを押そうとして……不意に後ろからガバッと誰かに抱きつかれ、体を強ばらせた。
「潤………」
「……翔」
だが、すぐに翔だと分かり、俺は体の力をぬき、俺の体にまわされた逞しい腕を触る。
「家からメッセージくれたんじゃなかったの?」
「……マンションに着いた時に送った」
「ふふ……だからあんなに返信早かったんだ」
「ああ」
……………?
いつまでたっても俺に抱きついたまま離れない翔の腕をポンポンとたたく。
「…………どうしたの?」
とたん、大野家の扉がひとりでにあき、ぐんとみえないチカラで引っ張られた俺は翔と滑るように中に入った。
翔の念動力の能力、というのは分かった。
なに?と思った瞬間、俺は翔に正面から抱きすくめられ、キスされる。
「っ…………」
それは、いつもの優しく羽で触れるようなソフトタッチのキスではなく、いきなり舌でかきまわされるような力のあるキス。
でも暴力的とかそんなんじゃなくて、その行為の後ろに悲しみがみえて、俺は戸惑った。
