
キラキラ
第39章 バースト12
Sho
会いたくもないのに、塾講師という立場上、カホと、やたらと顔をあわす。
「大野先生、Aクラスの西畑くんなんですけど……」
「………はい」
腹ただしいことに、仕事の話をもってこられると、無視するわけにはいかない。
俺は、作業する手を止めて、歩み寄ってきたカホを見上げた。
「この子、リーディングはとてもいいんですけど、ヒアリングに不安があるって言ってて」
「はい」
普通の顔をして話を進めるカホが気味悪い。
あの日から、俺は彼女に対しての警戒レベルをあげた。
俺につきまとうだけなら、なんとでもなるが、潤に接触するのは許せなかった。
だいたい、潤が暴走をおこしたのは、こいつが潤に余計なことを言ったからだ。
「あの、聞いてます?」
「ああ……はい。けど、それに関しては塾長に相談された方が」
「………そうですか?じゃあ、そうします」
ありがとうございます、と微笑み、カホは踵を返しかけて、あ、そうだ、と、再び俺に向き直った。
「大野先生、今日このあと時間ありますか?」
「ありません」
「…………なんか冷たくないですか?」
「別に。いつも通りですけど?」
ダメだ。
イライラする。
俺は、テストの採点をしながら、小さく深呼吸した。
