
キラキラ
第39章 バースト12
「嘘。なんか怒ってるでしょ」
「怒ってません」
やり取りすらめんどくさくて、事務的な口調になる俺に、カホは、肩をすくめた。
「……………なら、いいんですけど。そうそう。この間、翔くんのお母さんからメールもらいました」
「…………」
は?
「順調にお付き合いできてる?って聞かれました」
母さんのやつ…………
母さんはカホ推しだ。
嫌な予感がして、俺は、剣呑な口調で聞いた。
「…………なんて答えたんですか?」
すると、カホはあっけらかん、と
「はいっ、て言いました」
と言った。
「…………!」
瞬間、血が逆流しそうになって、俺はペンを持つ手に力をこめた。
事実無根だろうが!
こんなに言葉が通じない女は初めてだ。
俺は女運は無い方だと思っていたけど、ここまでとは。
他の人間もいる塾の職員室で、声を荒らげることはできない。
俺は理性をかき集めて、静かにカホを見上げた。
「………嘘はよくないぞ」
「翔くんだって嘘ついてるじゃないですか」
カホが真顔で言い返してきた。
