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キラキラ

第39章 バースト12


「嘘なんて……」


俺が、否定しようとした言葉を、


「正確には、してた。お付き合いしてるひとはいないって、信じられないくらい大きな嘘」


カホは、バッサリきった。


「…………」


痛いところをついてくる。

以前、それに関しては申し訳なかったと謝ったのに。
…………ようするにカホはまったく納得してないのだ。


自分の浅はかな発言をここまで悔やんだことはない。

どう言えば正解なのか考えを巡らしていると、カホはファイルをパタンと閉じて、にっこり笑った。



「……つまり、それって、恋人が、男性だから親に言えないんでしょ」

「……………」

「そんな薄っぺらいお付き合いなら、やめたら」



さらに畳み掛けてくるカホに、俺は言いたいことを飲み込まざるを得ない。



「それとも、私がお母さんに、言ってあげましょうか」


カホが勝ち誇ったように微笑む。
完全にマウントをとられた。


俺はいいんだ、別に、母さんにバレようが父さんに知られようが。

でもこの件はものすごくデリケートな話だから……俺の一存では下手に動けない。

智兄にも相談しないといけない。
智兄に飛び火したら。
松岡さんに飛び火したら。
そんなことを考えてしまう。



俺はペンを握りつぶしそうになるのを抑えながら、



「…………このあと、どこに行きたいのですか」


と聞いた。

カホは微笑んで、


「パスタの美味しいお店へ」


と、言った。

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