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キラキラ

第39章 バースト12


一瞬、また潤の店かと思って険しい顔になった俺を、カホは全然別の店に連れて行った。


「私のお気に入りの店なんです」

「……そうですか」


潤の店のようなカジュアルな感じはなく、立派なイタリアンだ。
やはりそこは、いいとこのお嬢様なんだろうな、と思う。

うまそうにワイングラスに口をつけるカホは、満足げだ。

俺は、警戒心を解かないまま、そんなカホを見つめた。


…………まずいな


理由はどうあれ、カホと二人で会わない、と、潤と約束したのに、会ってしまってる現実が憂鬱だ。

これは帰って、智兄と作戦会議だなぁ…と考える。
親へのカミングアウトも念頭におかないと、ややこしい事になりそうだ。
1番に気にしないといけないのは、潤と松岡さん。
俺ら兄弟の家ごとなのに、あの二人を変な風に巻き込まないようにしないと。


「ねぇ、翔くん」

「………はい」

「今度、お父様に会ってもらえませんか」

「…………お断りします」

「……そんなに怖い顔しなくたっていいじゃないですか」


カホは、眉をさげて、こわっと呟く。


誰のせいだと思ってんだ………


だいたい、こいつの初対面の頃の初々しい感じはどこへいった?と、思うほどだ。
あれが全部演技だったとするならば、女ってマジでこわい。

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