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キラキラ

第39章 バースト12


「翔さんが困ったことに巻き込まれてる、って、かずから聞いてはいたけど…」


雅紀は、苦笑いして頬杖をついた。


「そっか………なんか、それは潤にとってもしんどいね」

「…………うん」

「………見合いしたってだけで、こっちはショックなのになぁ」

「………うん」



凹んだ俺に欲しい言葉をくれる親友に、思わず涙腺が緩みそうになったが、唇を噛んで誤魔化した。

恋人事情をお互い知り尽くしてるからこそ、傷つく理由は、理解出来る。


……そう…女の影は、どうしたって怖い。


どんなに恋人に信じろといわれたって、まわりが俺を排除にかかったら、俺になす術はない。
男同士の恋愛を認めてくれる優しい世の中ばかりでは、ないから。


「………俺も、かずが見合いしたなんて知ったら、きっと気が気じゃないと思う」

「…………」


雅紀は、ぽつんともらしたあと、


「…………潤は、どうしたいの」


と、俺の目をみた。


「……………」


息がつまる。


「翔さんに嘘つきって怒鳴り込みにいく?」


俺、ついていくよ?と、言われたけど、俺はかぶりをふった。



「それとも、その女の人に、翔さんに近づくなって言いにいく?」


俺、ついていくよ?と、また言われたけど、俺はかぶりをふった。



「………ハンカチないから、タオルでいい?」


ちょっと汗臭いけど、と、部活で使ったとみられるスポーツタオルが差し出された。


俺は黙ってそれを受け取り、顔を乱暴にごしごしふいた。

泣いてない。
俺は断じて泣いてない。

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