
キラキラ
第39章 バースト12
コンコンと窓をノックされる。
ぼんやりとしていた俺は、ふと我にかえり、顔をあげた。
すると、いつもおろしてる髪をアップにして、やけに着飾ったカホが満面の笑みで手をふっている。
ああ…と、頷きロックをはずすと、彼女は当然のように助手席の扉をあけ、フローラルな香水の香りと共に乗り込んできた。
「ごめんなさい。待った?」
「…………いや」
…………なんか
まるで恋人同士のような会話に、ゲンナリする。
だが、1回だけのデートに応じたのは俺だ。
これで全ての問題は解決するのだ。
これでいいのだ。
………1回だけだ。
「………どこに行けばいいんですか」
俺はナビに手を伸ばして、カホにたずねる。
せっかくだから自分がプランを考える、と、いうから、彼女に任せた。
故に、俺は今日どこにいくか全く知らない。
「えっと、水族館がいいです!」
そういって、彼女は、千葉にある有名な場所を指定した。
……ここからそこそこ距離がある。
内心、マジか。と思っていたら
「ドライブもかねて」
カホが、ダメ押しのように言った。
俺は、ため息をつくのを我慢しながら、ウインカーを出し車を発進させた。
