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キラキラ

第39章 バースト12


カホはよく喋った。

無愛想な俺にめげずに、よく笑い、カバンからコーヒーやらキャンディーやら出してきては、俺に食べさせたがった。


…………………まったく


潤にちょっかいさえかけてなければ、それらを少しは寛容に受け入れてやれたかもしれない。
だが、生憎、そこまで俺は心は広くない。

あまり喉がかわいてないから、と断ると、カホはそうですか?と言って自分でプルタブをあけて飲んでいた。

めげないを通り越して、鋼の心だな、とあきれてしまう。


「今日はね、翔くんとイルカを見ようとおもってたんです」

「…………はぁ」

「ペンギンもね」

「…………はい」


生返事をしながら、ひたすらに運転に集中していると、カホはカーラジオから流れる曲にあわせて鼻歌をうたいながら、外を眺め始めた。


俺も内心ほっとして、ナビの到着時間を確認する。
目的地まではもうすぐだった。


都心さえぬけてしまえば、車の量はそれほど多くなく、走りやすい。


潤は……どうしてるかな


フロントガラスの向こうに広がる青空にあいつの笑顔を思う。


…………今日はアルバイトの日のはずだ。


この用事が終わったら、会いに行こう。
疲れた、と言われても……顔だけ見に行こう。

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