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キラキラ

第39章 バースト12


『………わかった。なるべく早く帰る』

『ごめんね』

『いや、こちらこそ知らせてくれて助かった。それまで潤を頼む』

『うん。それはまかせて』



ホッとしたような声とともに、頭の中に呼びかけてくるチカラが途切れたのがわかり、俺も意識的に集中を切った。


人混みのなか、うつむき唇を触る。



潤が不安定………?


どうしたのだろう。


おめでたい俺は、カホが潤に再び接触してたなんて夢にも思ってないから、アルバイト先で何かあったのだろうか、と的はずれなことを心配していた。

早く帰って話を聞いてやらなくちゃいけない。

俺がそばにいてやりたい。


帰る道筋を頭で考えていると、やがて、カホがうつむきがちに戻ってきた。

その小さい頭に問いかける。


「……大丈夫ですか」

「はい。痛みはもうないです」


神妙な声で答える彼女をまじまじと見つめた。

改めて見ると、ひどいことになっている。
胸のあたりに、茶色い大きな染みが広がっていて、そこらへんは火傷はしてないのか、とふと思う。


俺は来ていたカーディガンを脱ぎ、ほら、と彼女に渡した。


「………少しでも隠せるでしょう。それにもう帰りましょう」

「え……」


カホが弾かれたように顔をあげた。


「その格好ではこれ以上は無理です」

「そんな………」


カホの瞳に涙が浮かんだ。

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