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キラキラ

第39章 バースト12



何か理由があるはずだと、頭では分かってる。
大体浮気をされたわけじゃないのだ。
女の人とでかけていた、ただそれだけのことだ。


でも、翔の隣りに女の人がいるという画を想像すること自体が嫌だった。

これが嫉妬?
それとも独占欲?

それすら、よくわかんないけど、とにかく嫌なものは嫌で。

しかも、もし周りから、俺よりあの人といる方がお似合いだね、なんて思われてたとしたら……


「っ……うっ」


別れろなんて、もし翔の親に言われたら。


もし、だなんて、現実に起こってもないのに、後ろ向きな思考に、あとからあとから涙はあふれてくる。


翔………



しまいには、女々しく泣く自分すら嫌になってきたが、1度決壊した思いはなかなか立て直すことができない。



『潤くん』


ふいに、かずのテレパスでの呼びかけが頭に響く。
心配そうなそのトーン。



…………


俺の様子を心配してくれているのだろう。

でもこんなぐじゃぐじゃな思いなんて読まれたくないし、応答なんてできないや。



『潤くん。大丈夫?』



ごめん、かず



俺はあえて思考を閉じ、かずの呼びかけをシャットダウンした。

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