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キラキラ

第39章 バースト12


頭が痛いからいらない、と夕食も食べないまま、ひたすらベッドに横たわっていた。


電気もつけない部屋を、カーテンが開きっぱなしの窓からの月明かりだけが照らしてる。


細くため息をついては、ぼんやりと空ばかりみていた。


1度無視したかずの声は、あれから何回か頭に響いたけど、応答したくなくて黙ってたら、やがてそれもなくなった。

ずっと鳴り続けるスマホは、翔だと分かった時点で電源を落として、床に投げ捨てた。



………嘘つき。


女々しく罵る。



…………翔のアホ。


子供のようにごねてみる。



自分は、どうしようもなく翔が好きなのに、翔はそうじゃないのかな。
想いの重さが俺と翔と違うじゃん?


俺ばっかり………俺ばっかり。



「潤」


不意に、密やかな声が俺の名を呼び、心臓がとまる。
テレパスでもない。
この空間に現実にある声。


………今、1番聞きたくて聞きたくない声。


いつも甘くて心地よい響きの声なのに、今はとても戸惑いにみちてる。


「潤」


俺はゆっくり起き上がった。

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