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キラキラ

第24章 バースト5

Jun


夕飯を終え、自室のベッドに寝転がった。

週刊雑誌を手にし、表紙で微笑むグラビアアイドルをぼんやりと見つめる。

最近売りだし中のその女性は、腰も細くて胸もあって、弾けるような笑顔が印象的であった。

変にエロティックな演出をしている娘より、俺は断然、こういう爽やかな娘の方が好みだった。
裸に近いような、きわどい水着のショットをオカズにしたことも……一度や二度じゃない。

まあ、こんなのは健全な男子高校生なら当たり前の話なんだけど……。

俺は、手にしてた雑誌を、ぽいっとベッドの下に放り投げた。
そして、ころりと体の向きをかえる。

ゆっくりと目を閉じた。

すると、脳裏に甦るのは浴室の翔の姿。 

浴槽で密着して、触ってもらって、一緒にイッたあの時の場面がフラッシュバックしては、顔が、体が火照る。

なんならあのときの感覚を思い出すだけて、何回でも抜ける。

……と、ここまで考えて、自分自身に笑ってしまった。

……欲求不満男みたいじゃん。


でも、無性に翔に会いたいのを我慢してるから、こんなことばかり考えてしまうのかもしれない。

どんだけあの人の事を好きなんだ、俺。

自分がこんな乙女みたいなことを考えるようなやつだと思わなかった。

いつか、うざがられそうだな。

一人で自嘲気味に笑う。


……その時だった。


『潤くーん』


突如聞こえた、無邪気な声に、びっくりして飛び上がった。

「……え?」

『潤くーん。きこえる?』

この柔らかなちょっと高めのトーンの声の持ち主は。

「……かず?」

『うん、そーそー』

テレパスで頭に直接響いてくる声に、見えもしないのに思わずベッドに起き上がって座ってしまった。
翔と、やらしいことをしたいだなんて考えを、読まれやしないかと、意味もなくわたわたしてしまう。

「え……どうした?」

『うん。あのさ。潤くんって、頭に浮かべた人がいる場所に跳べるようになったって、前に言ってたよね』

「……うん」


安定してきた瞬間移動のチカラは、場所だけでなく、人をめがけて跳べるようにもなってきて、正確性を増していた。
しかも、本能的に人を避けるのか、直接その思い描いた人の前に跳ばずに、その人がいる近くの物陰に跳べるという、冗談のような便利機能つき。


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