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キラキラ

第24章 バースト5



そこで、ピンときた。

……まさか。

『智さん。今日遅いんだって』

俺の予想を決定づけるかのような、人物の名前がとびだしてきた。
楽しそうに続けるかずに、俺は恐る恐るたずねた。

「え……ひょっとして」

『うん。ちょっとだけ見に行こうよ』

智さんの恋人
 
と、いうかずに、眩暈がした。

まだあきらめてなかったのかよ……?

「……なんで、そんなにこだわるの」

『んー、興味』

「ははっ……興味?」

即答してきたかずに笑いしかでてこない。
興味っていったって。

「あんまり……気が進まないなぁ」

俺には、智さんの秘密を覗き見するみたいで、罪悪感しかないんだけど。

そう思う俺に、かずは、さらに追い討ちをかけるように言った。

『あんな、ほにゃほにゃのんびりしてる人が、スッゴい変身して帰ってくるんだよ?どんな人がそうさせてるのかなって思わない?』

「……」

まあ……その辺は気にならないといえば、嘘になるけど。


『……俺たちもさ。恋人が男ってやっぱ少数なわけじゃん。どういうおつきあいの仕方をしてるのかななんて、参考になることあるかもじゃない?』

「……」

まあ……言いたいことはなんとなくわからんでもないけど。
先輩は、どういう風な空気感もってるのかなって思うわけか。

『相手にあきられないようにするにはどうしたらいいんだろう……って』

「……」

ぽつんとかずが最後に言った言葉に、断ろうと思ってた俺の気持ちが、ひっくり返った。

自分達のペースで、と言っていたかずにも、やはり少しの不安はあるんだ。
そして、それは、はからずも、たった今俺が考えていたことにも共通することであった。

相手にうざがられずに。
相手の気持ちを繋ぎ止めておくには、どうしたらいいの?
好きだ、というだけじゃ、重いだけかもしれない。
やっぱり女の子がいいって言われるかもしれない。

男同士だもの。
長続きの秘訣なんか、わからない。

智さんはお付きあいはじめて3年たつって聞いた。
すごいよね。

……わかったよ。

『だからさ、潤く……』

重ねて促してくるかずの言葉を遮った。

「ちょっと相手の顔見て、ちょっと智さん見て、ばれる前にすぐ帰るぞ?」

『……うん!』

かずが嬉しそうな声を出した。

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