
キラキラ
第24章 バースト5
気がつけば、薄暗い場所にかずと二人立っていた。
……室内だ。
くるっと見渡せば、どうやらここは寝室。
この家の持ち主の完全なプライベートルームのようだ。
黒を基調としたインテリア。
キングサイズのベッドと、大きな姿見。
部屋のすみにあるのは、お掃除ロボットか。
なんにせよ、几帳面な性格が表れている綺麗に片付いた部屋である。
………いや、しかしこれはまずい。
俺は、焦りでドキドキしてきた。
てっきり、居酒屋とかレストランとか、ショットバーとか。
智さんが、外食をしてることを想定して、跳んだつもりだ。
たから、店のトイレや、店の裏手に、跳ぶことを予想していた。
智さんを思い描いて、こんな場所にきたということは……。
『潤くん……』
かずが、やばいよね?というような目をして、俺を見上げた。
俺は、唇をかんで頷いた。
おそらく、ここは智さんの恋人の家だ。
そして、きっと、ここは彼の寝室。
……いつ、二人がなだれこんでくるかわからない。
見つかったら言い訳もできない。
下手すりゃ不法侵入だ。
智さんにだって迷惑がかかるだろう。
……だめだ、これは。
場所が悪すぎる。
『まずいよ。すぐ帰るぞ』
俺は、かずに語りかけた。
かずが頷いた。
その時。
「……ぁあっ」
超絶、艶っぽい声が、ドアの向こうから聞こえてきた。
思わずかずと目をあわせた。
しっかりしまっていない扉の向こうから、明かりが少し入ってきてる。
あの向こうは……リビングか?
「ぁ……ああっ……気持ちい……い」
甘く喘ぐ声は、聞き覚えのある柔らかな響き。
かずが目を見開いて、両手で口をおさえた。
俺も、片手でぎゅうっと胸をつかんだ。
汗ばんだ手が、震える。
この艶のある喘ぎ声は。
まさか。
「……ここはどうだ……?」
「……そこ……っ……ぁん」
「智……」
…………!!
息が止まったかと思った。
ドアの隙間から漏れきこえる声は、どう聞いてもお取り込み中。
ギシギシと、なにかが動く音に連動して発せられる甘い声は、どう聞いても真っ最中……。
