
キラキラ
第24章 バースト5
『え……潤くん大丈夫?』
少し慌てるかずの声。
だよな。
俺も、自分に、大丈夫?って聞きたいよ。
集中しなきゃと、思えば思うほど、気持ちが霧散してゆく。
焦れば焦るほどドツボにはまりそうだ。
『大丈夫……ちょっと待て』
深呼吸を二回。
目をつぶって、自分の内側に向き合う。
『あっ……!こっち来そう!』
わきあがるチカラを自分の意識に重ねて……
『潤くん!大変!!来ちゃう!!』
ドアの外をうかがい見ながら、かずがぎゅうっと俺の手を握ってきた。
うるさいうるさい!
集中できねぇ!
あと少しのチカラが出てこないんだ。
俺は焦って、首を振った。
必死で翔の顔を思い浮かべた。
翔……!
『潤くん!!』
ドアの外を見たかずが悲鳴のような声をあげた。
くそっ……一か八か!
ぐっと息をとめて、あとはどうなってもいい覚悟でありったけのチカラを解放した。
『……くっ……!』
瞬間、普通の聴覚では捉えられないような感覚のなかで、バァンという爆発音を感じた気がした。
かずと握っていた手のひらから、無意識にぶわっと流れ込んできた彼のチカラをもぎとり。
視界が、さっと白くなった瞬間、キィ……と、扉があいて、リビングの光を背に、長身の男が部屋の入り口に立っているのが、見えた……気がした。
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Masahiro
小さな悲鳴をあげて、智がその華奢な体を震わせた。
二人の間に飛び散る、智の熱い飛沫を感じながら、自分も彼の中に熱情を注ぎこむ。
くたりともたれかかってきた体を優しく抱き止めて、背中をゆっくりさすりあげた。
「愛してる…」
意識をおとしてる彼には、聞こえてないだろうが、何回でも囁きたくて。
瞼を閉じた智の頬にキスをした。
喉の乾きを覚え、水を飲みにキッチンに立つ。
その時。
何故だか寝室に意識がいった。
何かよく分からないが……気になった。
「……」
何かの気配がする。
……なんだ?
怪訝に思いながら、寝室の扉をそっとあけた。
リビングの光に照らされて、薄暗い室内が浮かび上がる。
そこにはいつものなにも変わらない自分の部屋。
……気のせいか。
瞬間、鼻腔をくすぐったのは、覚えのあるシトラスの香り。
……智を抱き締めた時に、彼の髪から香るシャンプーと同じ香りがした。
「……」
なんだろう……?
