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キラキラ

第24章 バースト5


『え……潤くん大丈夫?』

少し慌てるかずの声。

だよな。

俺も、自分に、大丈夫?って聞きたいよ。
集中しなきゃと、思えば思うほど、気持ちが霧散してゆく。
焦れば焦るほどドツボにはまりそうだ。

『大丈夫……ちょっと待て』

深呼吸を二回。
目をつぶって、自分の内側に向き合う。

『あっ……!こっち来そう!』

わきあがるチカラを自分の意識に重ねて……

『潤くん!大変!!来ちゃう!!』

ドアの外をうかがい見ながら、かずがぎゅうっと俺の手を握ってきた。

うるさいうるさい!
集中できねぇ!

あと少しのチカラが出てこないんだ。

俺は焦って、首を振った。
必死で翔の顔を思い浮かべた。

翔……!


『潤くん!!』

ドアの外を見たかずが悲鳴のような声をあげた。

くそっ……一か八か!

ぐっと息をとめて、あとはどうなってもいい覚悟でありったけのチカラを解放した。

『……くっ……!』

瞬間、普通の聴覚では捉えられないような感覚のなかで、バァンという爆発音を感じた気がした。

かずと握っていた手のひらから、無意識にぶわっと流れ込んできた彼のチカラをもぎとり。

視界が、さっと白くなった瞬間、キィ……と、扉があいて、リビングの光を背に、長身の男が部屋の入り口に立っているのが、見えた……気がした。

*******

Masahiro


小さな悲鳴をあげて、智がその華奢な体を震わせた。

二人の間に飛び散る、智の熱い飛沫を感じながら、自分も彼の中に熱情を注ぎこむ。
くたりともたれかかってきた体を優しく抱き止めて、背中をゆっくりさすりあげた。

「愛してる…」

意識をおとしてる彼には、聞こえてないだろうが、何回でも囁きたくて。
瞼を閉じた智の頬にキスをした。


喉の乾きを覚え、水を飲みにキッチンに立つ。

その時。

何故だか寝室に意識がいった。
何かよく分からないが……気になった。

「……」

何かの気配がする。

……なんだ?

怪訝に思いながら、寝室の扉をそっとあけた。

リビングの光に照らされて、薄暗い室内が浮かび上がる。
そこにはいつものなにも変わらない自分の部屋。

……気のせいか。

瞬間、鼻腔をくすぐったのは、覚えのあるシトラスの香り。
……智を抱き締めた時に、彼の髪から香るシャンプーと同じ香りがした。


「……」


なんだろう……?

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