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キラキラ

第24章 バースト5

Sho


長い数式の羅列に、ようやく一区切りつける。
ずっと机に向かってるから、こり固まった肩をほぐすように、首を傾けた瞬間。


…………っ?


空気の流れというより、空間そのものが歪んだ気がして、はっと顔をあげた。


とたん静かな部屋に、人の気配がして、後ろを振り返ったら、意外な組合せの二人がたたずんでいて。


「…?!…おいっ」

その二人が、同時にぐらりと倒れこむものだから、俺は、すんでのところでチカラで、受けとめ、立ち上がった。

「おい!どうした?!」

潤の方は蒼白な顔で意識がないし、かずはかずで、体を支えられないようで、荒い息を繰返しながら、苦しげに目を細めてる。

とりあえず、かずの腕をとり、その場にゆっくり座らせ、潤はベッドに寝かせた。

潤のありえないほどの白い顔に、不安になるが、顔を近づけて確認すると、小さく息をしてることが分かりホッとする。

「……?」

しかし、同時に、潤の体の中を流れるチカラが、放出しつくした直後のような、気の纏いかたであることに気づいた。

無なのだ。
何も潤の中に残ってない。

過去、何回か大暴走して、体を動かす機能を狂わせてる前科がある潤。

なんだ、これ。
何してんだ、お前ら。

「………何があったのか知らねぇけど……」

久々にチカラの使い方をしくじったに違いない。
俺のとこに跳んできて正解だ。

ため息をついて、そっと、潤の頬にふれると、ひんやりとした。
血の気がない。
固く閉じた瞳に、体力と精神力の限界を訴えられているようで……ひとまず寝かせることにする。
何時間か眠れば、マシになるはずだ。


次に、座らせたかずに歩みより、より添うように隣に座り込んだ。

いまだに、はぁ……はぁ……と荒く息を吐いてるかず。
体が支えられずに、今にも横になりそうなほど傾いてる。

こっちもチカラを使いすぎたか?

「……何があったんだよ?」

肩を支えて心配そうな目を向けると、かずは、苦笑いした。

「……最後、潤くんにありったけのチカラあげちゃったから……も、動けない……」

「……なんでお前のチカラを潤にやる必要があんの?」

「跳べなかったから……」

「なんで?」

「……なんでだろうね……」

「…二人でどこ行ってたんだよ?」

「………」

その問いに答えぬまま、かずも意識をおとした。

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