
キラキラ
第30章 hungry 2
無言で、顎でカーテンに覆われたベッドを指された。
そこに、俺がここに来た理由がある、と、当然のように。
でも、俺はどう動いてよいのかわからない。
大野さんは……大丈夫なのかよ?
「いいのか……?」
小さく問えば、少しだけな、と頷き、松潤がゆっくり立ち上がった。
「見舞いに来たんだろ」
「……うん」
「さっき横になったとこだから、まだ寝てねぇはず」
白衣を翻し、薄いカーテンにそっと手をかけた松潤は、
「……大野。開けるぞ」
と、静かに断って。
ふわりとカーテンをめくったら、いつもの俺のサボり場所に、青白い顔をした大野さんが横たわっていた。
右手は額に添えられて、少ししんどそうな寝顔。
寝てるじゃん……と焦りかけたら、その閉じられた瞳が、ゆっくりと開いた。
ぼんやりした瞳は力がなく、一瞬さまようように視線を泳がせてから、静かに俺らの姿を捉えた。
リラックスさせるためか、開けられたシャツの襟元から、白い首筋と鎖骨が見えて、一瞬ドキリとする。
ただ、その身に纏う気だるい雰囲気に、たちまち心配になった。
俺の姿をみて、大野さんは、あれ……?と言って申し訳なさそうに眉を下げた。
「櫻井……調子悪いの?ごめん、ベッド俺が使って……」
「違っ……違います!俺は超元気ですから!」
慌てて、否定する。
松潤が苦笑いして、ベッド脇に近づき、大野さんの額に手をあてた。
「……もう少し休んだら、今日はもう帰れ」
「……はい」
優しい口調で諭されて、大野さんがこっくり頷くのを見つめる。
そして、体をおこした松潤は俺を振り返り、ニヤリと意味深に笑った。
「……面会時間は三分」
そういいおいて、軽くウインクしてから、カーテンをひきデスクにもどってゆく。
松潤のはからいに感謝しながら、俺は大野さんの枕元に立った。
