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sugar-holic2

第16章 酒の力を借りなくても

自分のお猪口に注ぎ、倉田くんのにも注いでおく。

何だかんだで3本目。

聞き酒したのを合わせたら、一人で二合近く飲んでるのか…。

結構ハイペースだな。

だけど全然酔ってなくて…むしろ、頭はハッキリしてる。

お酒の力を借りようと思ったのにな。

いっそ、酔ったフリでもする?

そうすれば、もう少し素直に気持ちを伝えられるかな…?

自分の考えに、思わず笑いを浮かべる。

また逃げてる、って言われそう。

お猪口に入ったお酒をぐいっと一息で飲み干すと、大きく息を吐いた。

飲んでも酔えないなら。

酒の力を借りなくても、伝えなきゃ駄目でしょ!?

立ち上がると、浴衣の裾を直して、ベランダに向かった。

ガラス窓越しに倉田くんを見つめる。

倉田くんがベランダの柵に肘をついて、外を眺めながら一服していた。

浴衣姿だから…かな?

いつもより背中が大きく見える。

そのまま見つめていると、倉田くんがこっちを向いて…あ、目が合った。

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