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sugar-holic2

第16章 酒の力を借りなくても

少し眉をあげて私を見た倉田くんに、あえてにっこりと微笑むと、窓を開けた。

昼間見たときは、所々紅葉し始めた山の景色を楽しめたのに、今は暗がりに沈んでよく見えない。

その代わりに、街灯が広がっているだけ。

倉田くんは灰皿に煙草を押し当てて火を消すと

「…こっち、来る?」

そんな気を使わなくてもいいのに。

首を振って断ると、

「寒くないの?」

窓を開けたら、ひんやりとした風が入ってきた。

ずっと居続ければ、肌寒さを感じそうな風。

「それほどでも」

でもね。ただでさえ浴衣一枚なんだから。

「ちょっとこっち来て」

手招きして倉田くんを呼ぶと、肩をすくめて窓に寄ってきた。

「何か?」

軽く首を傾げて、斜に構えた態度の倉田くんに手を伸ばすと、そっと頬に触れた。

「ほら、ちょっと冷たい。体冷えちゃうよ?」

「アンタの手が温かすぎるんだよ」

そう言いながらも、私の手を外そうともしないでいる。

「気持ちいい?」

両手で頬を包むと、倉田くんの目が細くなった。

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