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ビタミン剤

第2章 Cherry




各自
無言で口の中をもごもごさせてる。
俺らって、確か日本を代表する
アイドルグループの筈なんだけど?!


楽屋で地味過ぎるチャレンジって。




誰より早く結べたのはニノだった。


10秒するかしないかくらいで手の平に
のせてみせた、結ばれたさくらんぼの軸。
自分たちの軸はまだ口の中、
メンバーがそれぞれニノを賞賛する。



「なんでえーすっげーすっげー!」


「ヤバい、ぜんぜん出来る気しねえっ」


「なんか、難しいね。
俺なんてめっちゃヨダレでちゃうし。」


強引に歯を使ってたら軸を噛み切って
しまった俺の無残なヤツを見せると
みんなが一斉におれのことを笑い飛ばす。



「翔ちゃん。
不器用過ぎだよダメダメじゃん。
千切れちゃってるし。」


「強引過ぎんでしょ。
キスするのも強引なんじゃないの。」


「うわぁ、気をつけないと。
そんなんじゃ
相手の子怒り出しちゃうよ。」




確かにおっしゃる通り。
お付き合いしてる恋人は
今まさに怒りMAXのご様子なんです。




「じゃあニノがダントツで優勝!
ってことで、嵐の中で
キスの1番上手なのはニノに決定!」


「おめでとうニノ!」


「おい、ちょっと俺らにもそのテクさ
教えてくれよ。」



松潤が差し出したさくらんぼを
ニノのうすいくちびるに持っていく。

ああ、もう。

それ、
俺が1番やりたかったことなんだけど。


「はいはい。じゃあ
面倒くさいから一回だけね〜
こんな簡単なこと、出来ない方がどうか
してるし。
皆さんどれだけ
ヘタくそなキスしかしてないんですかぁ。」




ニノの最後のセリフは
わざわざ俺を見ながら突き付けていた。





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