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ビタミン剤

第44章 エピテーゼ


Mside



優しい指遣いで撫でてくれる

………智?

動きが…どこかいつもと違う感じがする


まどろみの中薄目をあけると
俺の好きな輪郭がぼんやりを浮かんでる




…………っ?


優しいささやきで呼ばれる

……ん…くん……


じゅん…くん…っ…




「…………ニノ?」

「よかった、目覚めてくれた」


まるで恋人同士みたいに腕枕されてる

下腹部に鈍くて重い違和感
全身を包んでる倦怠感

けど、それだけじゃなくて
蚊帳の中で繰り広げてた淫靡で鮮やかな
光景が脳裏に浮かんできたから
恥ずかしくてニノの胸に顔を埋めてしまった



「起きたなら、これ飲んどこうね」

2粒の錠剤が口移しに口腔へと入れてこられて
枕元にあったペットボトルからニノのくちびるを伝ってうるおいが流れ込んでくる。

「…ん…ぁ…あ…」

「飲み込めた?」

「ん、…もっと…ほしい…」

渇いた喉の奥
誘い水を流し込まれて更に渇きを自覚した。
嬉しそうに微笑むニノが
俺が満足するまでうるおいを与え続けてくれた。


「即効性の痛み止めと炎症剤だよ。
これ飲んだら楽になるからね」

「…ありがとう、ニノ。他のみんなは?」






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