ビタミン剤
第45章 残暑
Sside
「やっ…ダメ
汗くさいから…シャワー浴びさせて…」
ずっと雅紀とくっついてたいけど
汗くさい身体のままでは嫌だからって離れようと
すると、
くちびるから唾液の糸が引くくらい長い間キスされた。
みだれる吐息、跳ね上がる心拍数を
どうにか落ちつかせようと深く呼吸をする
「だったら一瞬にプールはいろ?
昨日もみんなですっげえ盛り上がったんだ。
甥っ子達も大喜びしてくれてさ、来年も絶対に
プールしてねってせがまれちゃった」
「フフ、喜んでくれて良かったね。
でも、俺はいいや。遠慮するよ
水着だって持ってないし」
うつむいてる俺の顔を覗き込むように、雅紀が
瞳をうるうるさせて見つめてくる
いつだってこの目に弱いんだ。
おいてけぼりにされて不安でいっぱいの仔犬の
ような無垢な澄んだ眼差し。
「あのね、2人お揃いの水着を買ってあるんだ。
翔にソレ履いて欲しいんだけどなぁ」
「…………わかったよ」
「クフフっすっごくかわいいから
翔にも絶対似合うからね!!」
こんな目をした雅紀に勝てる訳がない
そうやってなんだかんだ
いつも雅紀のペースに流されて引っ張られてしまう
手渡された紙袋にはリボンまで結ばれてた。