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ビタミン剤

第45章 残暑




雅紀のことが直視出来なくって
目のやり場に困ってつい視線が泳いでしまう。




「あれ?翔、まだ着替えてないの?」

「やっヤダよ…これじゃ小さ過ぎる…じゃん
こんなの恥ずかしいよ
もっと普通のトランクス型とかあったでしょ?」

「え?ダメなの?
これ気に入ってもらえなかった?」


「だって…こんなの…誰かに見られたら…」


「そっかぁ…俺からの愛の贈り物
翔は受けとめてくれないの?」




がっくり肩を落として膝から崩れるような
すっごくわざとらしい落ち込み具合を演じてみせるんだ。


そんな真似したって…
こんな恥ずかしい水着を着るとか絶対にヤだ!

うるうるした瞳で見つめてこられたって…


あーあ、頭まで項垂れてちゃったら
雅紀の肩甲骨周りがまる見えになってしまう。

あの背中に抱きついて、しがみついて
たまに激しく揺さぶられると、泣きながら爪まで
立てちゃったりする雅紀のたくましい背中。


翔と愛し合った証だねって、ニヤケた顔して
浴室の鏡で背中の引っ掻き傷を確認したりするんだ。


しょんぼりした表情に伏せられた長い睫毛



ほらまた…その顔もう…やだっ





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