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ビタミン剤

第45章 残暑



Aside


翔が俺のおねだりに弱いのはわかってる。

いつだって最後に折れてくれて、
結局俺に合わせてくれるのは大人な翔のほうなんだ




今年こそ2人で南の島までバケーションっ!


そんな年始早々の野望は
ドラマ撮影に映画撮影お互いのレギュラー収録、
雑誌撮影に毎年のイベント
諸々続きで挙句に翔の24時間テレビが決まって
しまったから
やっぱり今年も夏休みなんてとれなかった。




きめ細やかで白い素肌によく映えると思って選んだカラフルな花柄のビキニ。
色白な翔が履いてる姿を想像するだけで
鼻の下がだらしなく伸びてくるし。

待ちきれなくって部屋の中を覗いてみると
すこしむくれ顔した翔がいた。


「着替え終わった?」

「あのさ、雅紀っ…………っ!!」


困り顔に怒り顔
どんな翔の表情もやっぱり最高に可愛くって
水着姿の俺を見てのみこんでしまった声。

頬を染めて視線が彷徨ってるのは
きっと恥ずかしいからで
翔の左手の薬指のペアリングがキラッと光って見えた。

おおげさに肩を落としてがっかりして見せる。



「え?ダメなの?
これ気に入ってもらえなかった?」

「だって…こんなの…誰かに見られたら…」



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