ビタミン剤
第2章 Cherry
「じゃあいくよ。」
4人の視線をくぎ付けにさせて半開きの
くちびるからのぞかせるのは紅色の舌先。
尖らせた舌先にさくらんぼの軸を立てる
ようにしながら舌の形に這わせていく。
風船ガムを膨らませる要領みたいにというが
器用に上下の歯で挟みこみ舌先を使いながら
はやくも、しんなり曲がりだした
さくらんぼの軸がニノの舌の上で唾液に濡れて
その軸に妖し光を放っている。
「ここからは
口の中の工程になるからね。
上下を上顎の前の方に置いて
あとは舌と歯でこうして押し込んでと。」
ダメダメ!
だめなヤツだよ。
これは絶対駄目だなヤツだ。
もし放送されるヤツなら、
確実に放送コードに引っかかるヤツ。
ニノの口許がセクシャルっていうか
あまりにエロ過ぎる 。
もともと流し眼とかもバンバン平気で
カメラにサービスしたりするけど
そりゃアイドルだし。
だからといって
舌技とかテクニックを
わざわざ全国ネットで他人様に
見せつけることではないし。
ニノのくちびるがわずかに開き舌先を
出して見せるてくる。
小さな輪に軸の先っぽが入れられる手前
仕上がり直前のものを見せてくれる。
「うおーすっげー!」
「マジかよ。」
「ニノ、天才だね。」
それぞれが賞賛の声をニノにかける。
あの、もう止めたほしいんですけど。
人前でそういったエロスを連想する
行為はマジ勘弁してほしいです。
ニノの目元が妖しく微笑む。
だからやーめーてーぇ
それは!
ダメ!!
超絶色気を含ませた時の
まるで誘うかのような、
寝室であの時に見せる濡れた眼差し。
俺は下半身が別の人格を持ち
制御不能になるのを怖れ、
わざと視線を逸らして
あわてて新聞を読み直すフリをする。