テキストサイズ

ビタミン剤

第8章 食物連鎖



「あ、そうだね、ちゃんと智くんに
言ってあげなきゃ。
でも、このままで大丈夫?」


繋がりあったまんまだと
受け身の智くんの身体が心配
俺のせいで痛みとか、辛いなんて
味あわせたくないもんね。


「…ん、平気。
大丈夫だから、このまんま…
翔ちゃん食べてるのがいい。」


首にまわした両腕が放さないって
感じで力が込められてきた。







まだほんのガキだった頃の想い出。

記憶はあやふやで、ぼんやりとした
想い出だけど
空色のあざやかな青色だけは
忘れられない花の色。



まだ初等部の低学年の頃
夏休みってことで地域のラジオ体操に
行けだの行かないだのって
早朝からおふくろと大ゲンカした日
眠いのを無理矢理叩き起こされて
不機嫌マックスになった俺は
チャリで家を飛び出してた。

怒りに任せてむちゃくちゃにチャリを
走らせて気付いたらまったく知らねえ
とこまで来てて、へとへとに疲れて
川沿いの公園にチャリを乗り捨てて
空腹に水だけを補給して
芝生の上でぶっ倒れてた。


見上げ空は広くて真っ青な空
真っ白な雲があって
あの時はたぶん泣きそうになってた
不安と怒り、心細さ
ぐちゃぐちゃだった感情。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ