ビタミン剤
第8章 食物連鎖
車でおふくろが迎えに来たとき
怒鳴り散らした母親がいたけど
麦わら帽子の女の子が俺に空色の
花の小瓶を渡してくれて
黙ってかばうように俺の前に立って
くれたんだ
母親も黙ってくれて
俺は、その花の入ってる小瓶を
おふくろに差しだして素直に
ごめんなさいって言えた
この子が一緒に摘んでくれたんだ
そう告げて手渡した花
大泣きしながら抱きしめてくれる
おふくろがいて、たぶん俺も
泣いてたかもしれない
麦わら帽子に真っ白なワンピースの
女の子が、こっちをみてやさしく
微笑んでくれてたように見えた
それが俺のホントの初恋
ほんの短い時間の出逢い、別れ
名前ももう、覚えてないけど
女の子のくれた空色の花が咲く
季節がくると空を見上げながら
真っ白い雲をさがしてた。
俺の初恋の花
空色の露草
露草のやさしい想い出