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ビタミン剤

第8章 食物連鎖



俺の長ったらしい思い出話を
だまって静かに聞いててくれた智くん。

智くんの素肌と溶け合えていける
ような不思議な感覚。


「たぶんあれが俺のホントの初恋かな。
名前とか、すっかり忘れたけど
俺の中でさ露草の花って
初恋の花のやさしい思い出みたいな
ものになってた。」



智くんの蕾がぎゅむっと蠢いて
締め付け具合をきつくしてくる。

持っていかれないように、下腹部に
力を込めながら
1番伝えたかったことを智くんに
伝えてあげる。


「初めて智くんと出会った時、真っ白い
シャツを着てたんだ。
だから俺の中の智くんの第一印象は
どこまでも青い空と白い雲

それがすっげえ似合うなぁって。
だからかな、いつの間にか俺の中で
初恋の思い出の花の露草と智くんが
結びついてた。」



ってか、ウソ!

なんで?智くん泣いてる??
大丈夫かな、どっか痛いのかな。
思わず腰を引いて俺のを抜いてあげようと
すると、ガシッとしがみ付いて
抜いちゃやだってあまい声で強請ってくる。


「ごめんね、智くん。
ガキの頃の初恋とか聞いて気い悪くした?
むかしの淡い思い出だから。
今は智くんひとすじだし、
初恋の相手を探そうとか全く考え
たりしてねぇし。」

「ううん、翔ちゃん。
うれしいの、露草の花だって
言ってもらえて。
おいらも大好きな花だもん
ありがと、翔ちゃん。」

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