ビタミン剤
第10章 ハロウィンナイト
よしよし恋人だからって
なんでもかんでも共有したいとか
なんて馬鹿げてるし。
踏ん反り返ってお一人様を
楽しんでやるって
ニヤニヤしながらリビングの扉を
開けると、真っ暗な部屋で
うつ伏せに横たわる翔ちゃんがいた。
「……ヒィッ!!」
灯りを点けて顔を覗き込んだら涙の跡?
うそぉだぁ…
携帯片手に握りしめて生き倒れみたいに
眠り込んでた。
イヤな予感。
寝室に放り投げてた携帯を取りに
行ってみたら
着信着信着信の履歴。
メールにもLINEにも過剰攻撃が
届けられてた。
時々とんでもなく幼くなったり
無邪気さなんてかるく通り越して
あどけなさまで垂れ流しちゃう
翔ちゃんがいてたりするんだけど
ヤバい
今日はそんな翔ちゃんだったみたい。
最近はすっかり大人翔ちゃんだったから
油断してた。
あーあ
半開きのお口しちゃって
涙にヨダレまで
なんちゅう可愛さなのよ。