ビタミン剤
第11章 innermost
「んーどうだろ、
ニノにとっては俺は過去の傷にできた
かさぶたみたいなもんじゃないの。
優しい相葉ちゃんのおかげで古い傷は
ほぼ治ってるでしょ。
だからもう、俺みたいなかさぶたはさっさと
剥がしちゃいな。」
「翔ちゃんやだよぉ…治ってないもん。
まだ、治りたくない。」
ずいぶんと都合のいい話しだけど、ニノが
甘えた口調で言ってくるから、
つい許してしまう。
「じゃあまた我慢できないくらい古い傷が
痛くなったら、ここへ来たらいいから。
キャスター辞めない限りは俺もこの部屋は
おさえてるしね。」
「ホント、また来てもいいの?」
「ただし、中途半端はナシで
キスも中出しもどっちもさせろよ。」
「じゃあ、翔ちゃんこの部屋の中だけ
ここでだけ恋人みたいに抱いてね。」
薄茶色の瞳がきれいな輝きを放ってニノの
微笑みを彩っていた。
「なーに楽しみって顔つくってんの。
ニノには相葉ちゃんがいるでしょ
これからは俺のことなんて忘れるくらい
毎晩可愛がってもらえるって。」
「まーくんは大事な大事な恋人だよ
でも翔ちゃんはね、
俺にとっては特別な人だもん
今夜はこのまま、ずっとずっと…
俺の中に…いてね。お願い…翔ちゃん」
「わかったから。もう、眠いでしょ
ずっとこうしててやるからぐっすりと寝な。」
「うん…おやすみ…翔ちゃん」
俺の上にいる庇護されるべき愛らしい
小動物のようなニノが、ようやく瞼を閉じて
眠りについた。