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ビタミン剤

第11章 innermost



食欲、睡眠欲、性欲



生命の尊厳さえ危ぶまれることがあるんじゃ
ないかってくらい、作品作りなどに没頭して
しまうと己が生きてくことにギリギリまで
エネルギー摂取量を減らし、
すべてをそぎ落として作品へとのめり込んで
しまう体質。


「ウフフショウちゃーん
ねえねえおいらの名前呼んでよぉ」


舌足らずな甘えた口調。
きっといくつものビールの缶が転がってて
お気に入りのソファに躰をゆったりとあずけて
脚なんてだらしなく開脚してたりするんだろう。


「智くん、さとしくん、サトシ。」


ゆっくりとした低めの声で名前を呼んであげる。


「おいらショウクンの声もスキィ
だいすきなんらぁ…ショウ…クン…。」


おいおい寝落ちかよ。
ま、そろそろだとは思ってたけど、この
タイミングできたか。
次の満月がくる曜日を調べておく。
大野智の性欲は年に一度か二度やってくる。
いわゆる動物の盛りみたいな発情期の周期が
あって、性欲を感じてから次の満月の夜に
ピークを迎える。
あと、1週間後か、
携帯のスケジュールに予定を入れておく。
智くんが全てをさらけ出して本能のままに
奔放になる一夜。

日々欲望との葛藤の中で暮らす俺やニノ
なんかにはまるで理解なんてできない。
おおよそ常識とかなんてかけ離れた
まさしく宇宙人みたいな感覚を持っている。

智くん曰く
それで充分満たされてるらしい。


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