ビタミン剤
第12章 カレイドスコープ
「ありがとう智くん、大好き。
これ、めっちゃ嬉しい俺の宝物にするからね。
肌身離さずに持ち歩きたいくらい。」
「だーめ、これは門外不出。」
「ええなんで、なんでよぉ。」
「2人だけで見れるんだよ。
こんなの、万が一他のだれに見られたら
恥ずかしくて死んじゃう。」
顔が真っ赤になってる智くん
もしかしたらメンバーに見られたりしてる
ところを想像してるのかも。
「それに昨日みたいにちょっとケンカした時
とか、これ見て翔ちゃんとすぐに仲直りが
したいもん。」
ごく単純な言い争い。
痴話喧嘩みたいなもので実は今日の収録の
洋服にあわせる俺のネクタイが原因。
最終的には智くんのオススメするやつに
決まったんだけどね。
ソファーに座りながら
鼻の頭をかいて照れ隠しする智くんを
ぎゅっと抱きしめた。
「俺もね翔ちゃん大好きだよ。
さっきは1人だけ渡せずにごめんね。」
「ううん。智くんと俺の2人だけの
ヒミツだもんね。」
唇を尖らてぶちゅーっと
準備をしてると智くんからの思わぬ告白。
実は翔ちゃん見てるときは
ほとんど周りが見えてないんだと言ってくる
智くん。
「翔ちゃんの周り一面がキレイな色の
ハートが飛びまくってるみたいに見えて
たりするんだよ。
だからね、つい見惚れちゃったりして
ぼんやりしてたりするんだ。」
司会番組の俺を見てても、ニュースの映像
でも智くんに見えるのは色とりどりのハート
の中にいる俺の姿らしい。
「せっかく翔ちゃんが難しいテーマを
分かりやすく説明してくれてるのに
ハートに埋もれてる翔ちゃんばっかりしか
見えないから
内容なんてさっぱりわかんないや。」